しろあんのさかな

ふーちゃのエンジニアブログ

修士2年で研究室を辞めて新しい研究室で2ヶ月で論文投稿した話

修士2年の4月に研究室を辞めて新しい研究室に入り、2ヶ月で査読なしの国内学会に6ページの論文を投稿した話です。タイトルはちょっと強烈かもしれませんが、この記事は前の研究室の悪口を書きたいわけではなく、研究室を移動したことでうまく気持ちが切り替わって2ヶ月間必死に取り組んで論文投稿までできた話を書いています。

研究室移動の経緯

今年の4月に学部4年生から2年間お世話になった研究室を辞めました。研究室の雰囲気、研究の題材は結構気に入っていたので2年間それなりに楽しく、辛いことがあっても周りと励ましあって続けてきました。しかしどうしても指導のスピード、ゼミの雰囲気が自分に合わなかったこと、そして自分がこの2年間のうちにそれをどうにか改善することができなかったことが理由で、修士1年の後半あたりから来年1年はどうしようかと考え始めました。そして今年の3月にあと1年今の気持ちでここにいると惰性で過ごして適当に修士号をとってつまらない気持ちで卒業をするんだろうなと思い、今の指導教員と前の指導教員の両方の承諾を得て研究室を移動させてもらいました。

運が良くて2ヶ月で移動~論文投稿までいけた

私が研究室を移動してだいたい4月の中旬からスムーズに研究をはじめられたのは、いろいろな面で良い環境があったからだと思います。

  • 学部時代からお世話になっていた今の指導教員

    • 学部2年生の特別演習の授業で1年間指導教員をしてくださっていた先生でした。
    • 授業の印象を覚えていただいており、私にあった進めやすさを一緒に考えてくださいました。
  • Verilog-HDLを利用した2年間の開発経験があった。

    • 学部2年
      • FPGA(Field Programable Gate Array)で並列処理による高速化を生かしたリアルタイムフィルタ
      • CORDICアルゴリズムとPWM(Pulse Width Modulation)制御で生成したsin波を利用した自動演奏回路
    • 学部3年
      • FPGA・ディスプレイ間のデータ送信回路
      • カメラ・FPGA間のデータ受信回路
      • SDRAMの読み出し・書き込みのためのAXIバスの記述
  • 両指導教員からのサポート

    • 前の研究と今の研究で少しテーマを変えなければいけなかったので、上手く前の研究を引き継げるように考えてくださいました。
    • 今回2ヶ月で論文投稿できたのも今の指導教員だけでなく前の指導教員のおかげでもあると思っています。
  • 両研究室の学生からのサポート

    • 移る上で困ること、私がいなくなった後の係の仕事や新しい研究室でのデスク環境の整備、メールアドレスの管理など大変なことも忙しい中で大丈夫だよと引き受けていただきました。
    • 前の研究室の方にも今の研究室の方にも仲良くしていただき、本当に成果が出るのかとか、特に移ったばかりは不安な気持ちがたくさんあったのでありがたかったです。

論文投稿するまでのスケジュール

今の研究室で、私の指導教員のチームはFPGAを用いた研究をするチームです。論文を書くためにはFPGA上での実験をしなければならないので、最終的にはFPGAに自作回路をのせて自分の思い通りの動作をさせなければなりません。自作回路はVerilog-HDLというハードウェア記述言語で記述できるのですが、開発の流れとしては、自作回路の記述・記述の動作確認シミュレーション・記述からbitファイルの生成(コンパイルみたいな感じでFPGAに理解できる形式に変換されます)・本番ボードで動作確認をしていきます。自作回路記述、動作シミュレーションまではボードに依存せずに行えるのですが、bitファイル生成と本番ボードの動作確認はボードに依存し、シミュレーション通りに動かないこともあります。私は4月中旬からGW明けまでに動作シミュレーションまで終わらせて、GW明けから6月頭までにbitファイル生成と本番ボードでの動作確認を終わらせました。6月頭から6月中旬までに自作回路の並列処理への回路拡張を行い、その後約2週間で論文執筆を行いました。

2ヶ月で論文投稿するまでに私がやったこと

  • 指導教員と週一のMTGで進捗の報告と、今後の方針を確認する
  • 同じ種類のボードを利用している同期にボードの仕様や実行手順をたくさん質問する
  • 自作回路は問題なく記述できるのに比べて、圧倒的に開発環境のセットアップや回路を動かすまでの細かい設定などが難しかったため、わからないところは2年間今の研究室で経験を積んだ同期に助けてもらう
  • 本番PCがすぐに支給されなかったため、それまで手元のPCで問題を簡単にした自作回路を設計して、記述し簡単なシミュレーションをした
  • 本番ボードがすぐには支給されなかったため、Pynqボードというボードを友人に貸していただき、簡単にFPGAボードへの実装の復習をした(以下の記事がその内容です) taiyaki-future.hatenablog.com
  • 開発時は先生に頼ることが少なく済んだのですが,論文執筆時は用語や書き方などまだよくわからない部分も多かったので時間をかけて何度もコミュニケーションをとり仕上げていきました

今後のよてい

今回のテーマで7月に学内発表、9月に国内発表(今回論文投稿をした学会です)をしてきます。本当にいろいろな方々にサポートしていただいたので、1年で良い結果が残せるように精進します。

まとめ

研究室を変えて、2ヶ月で論文投稿した話でした。卒業まで1年しかない修士2年で研究室を移動すると決めた3月4月は、1年で本当に卒業できるのかどうか、成果が出るのだろうか...とずっと思っていました。この2ヶ月は不安な気持ちがとても大きかったですが、まずは今1つ成果が出せたことに素直に喜んでいます。これで卒業できるというわけではないので引き続き研究を進めていきます。この記事を通してこういうケースもあると少しでも誰かに共有できると嬉しいです。